中小企業等経営強化法に基づく支援措置(経営力強化税制 A類型-工業会等の証明書の入手が可能な場合)
経営力向上計画の認定を受けた事業者は、計画実行のための支援措置(税制措置、金融支援)を受けることができます。
- 税制措置・・・認定計画に基づき取得した一定の設備について、固定資産税や法人税等の特例措置を受けることができます。
- 金融支援・・・政策金融機関の低利融資、民間金融機関の融資に対する信用保証、債務保証等の資金調達に関する支援を受けることができます。
1.税制措置
(1)固定資産税の特例
中小企業者等※1が、平成29年4月1日~平成31年3月31日までの期間に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備※2を新規取得した場合、固定資産税が3年間にわたって2分の1に軽減されます。
※1 資本金(出資金)の額が1億円以下の法人や常時使用する従業員数が千人以下の法人・個人
※2 以下の通り。
1.対象設備
設備の種類 | 用途又は細目 | 最低価額 (1台1基又は一の取得価額) |
販売開始時期 |
機械装置 | 全て | 160万円以上 | 10年以内 |
工具(※1) | 測定工具及び検査工事 | 30万円以上 | 5年以内 |
器具備品(※2) | 全て | 30万円以上 | 6年以内 |
建物附属設備(※1、2) | 全て | 60万円以上 | 14年以内 |
※1 工具・器具備品・建物附属設備については、一部の地域において対象業種に限定あり
※2 償却資産として課税されるものに限る
2.経営力向上設備等の要件
①経営力向上に資するものの指標(生産効率、エネルギー効率、精度など)が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備
②工業会等からの証明書を取得できること
(2)中小企業経営強化税制
青色申告書を提出する中小企業者等が、指定期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備※3を新規取得等し、指定事業の用に供した場合、法人税※4について即時償却または取得価額の10%※5の税額控除の選択適用ができます。
※3 以下の通り
※4 個人事業主の場合は所得税
※5 資本金3千万円超1億円以下の法人は7%
1.対象設備
設備の種類 | 要件 | 最低価額 (1台1基又は一の取得価額) |
販売開始時期 |
機械装置 | ①生産性が旧モデル比年平均1%以上向上する設備 ②工業会等の証明書を入手することができる設備 ③指定事業のために使用される設備 |
160万円以上 | 10年以内 |
測定工具及び検査工具 | 30万円以上 | 5年以内 | |
器具備品(※1) | 30万円以上 | 6年以内 | |
建物附属設備(※1) | 60万円以上 | 14年以内 | |
ソフトウェア(※1) | 60万円以上 | 14年以内 |
※1 一部対象とならない設備あり
2.即時償却、税額控除とは
即時償却とは、取得価額の全額を取得した期の費用とすることがです。通常、固定資産を取得した場合はその耐用年数に渡り、減価償却します。即時償却は通常の減価償却費に比べて、短期的に税金を減らすことができますが、費用の前倒処理であるため、減税効果はありません。
税額控除とは、取得した固定資産を通常通り減価償却していきながら、同時に定資産を取得した期の法人税、地方税を購入した金額に応じて直接控除することができます。
取得した期の法人税、地方税を減らしたいのであれば、即時償却を選択するべきかと思います。なぜなら、即時償却は経費を大きく計上することができるため、短期的に法人税、地方税を減らすことができます。
一方で長期的な視点から、負担しなければならない法人税、地方税を減らすのであれば、税額控除を選択するべきかと思います。なぜなら、税額控除は通常の減価償却をしながら、実際に法人税、地方税を減らす効果がありますので、長期的に法人税、地方税を減らすことができます。
中小企業等経営強化法に基づく支援措置(A類型)適用にあたってのPoint
・投資する設備の種類、スペック、金額、販売開始時期について対象設備の要件を満たすこと
・投資する設備について工業会等の証明書が入手可能であること
・設備投資後2か月以内に経営力向上計画の認定を受けることが可能であること